車椅子でハイキング(那須・どうぶつ王国)

1998年7月24日
突然Aさんが、栃木県の那須にある「どうぶつ王国」へ行きたいといいだしました。車椅子を積み込んで11時に野田を出発です。
国道16号線を岩槻へ向かい、東北自動道にはいります。この当たりの話しはいつもと変わらないので省略。
那須インターで降り、4号線に入って看板に従って走り暫くすると山の麓に広がるどうぶつ王国が見えてきて、13時には到着しました。

入国ゲートの右側にチケット売場があり、Aさんの障害者手帳を提示すると、入場料が半額になりました。
ただし、駐車場からチケット売場の前にかけて昇り坂になっているため にAさんは自分だけで車椅子を動かして昇ることが出来ませんでした。 けっきょく私が手帳をもって代わりにチケットを購入する事になりました。王国内が比較的、車椅子にやさしく作られていたのでチケット売場だけが残念でなりません。

どうぶつ王国の入口

なかに入ると様々な犬が出迎えてくれます。それも生後1年程度のまだ仔犬らしいのですが、大きさだけは一人前のおおきなものも沢山います。
犬好きの3人は次々と出会う犬に「かわいー」と声を上げては立ち止まると、犬の世話役の方がそのたびに「こんにちは」と私達に声を掛けてくれて、犬種と名前そして特徴を教えてくれます。

世界チャンピョンの経験をもつフリスビー犬のショーを見たり、様々な犬とふれあっているうちに、お腹がすいてきてカフェテリアにはいりました。ここはとても眺めがよくてテラスで簡単な食事を取ったあとも暫く3人でボーとしていました。

いままで見て歩いた所は、どこもスロープがきちんと用意されて困ることはありませんでしたが、牧場へは徒歩で約30分かかるという事で、シャトルバスを使うことにしました。私たちが乗ったのは猫バスと呼ばれていましたが、クラクションが猫の様々鳴き声になっていてとてもユニークです。その他にも犬の形をして、犬の鳴き声をさせながら走るバスもあって子供たちにおおうけでした。

このバスはマイクロバスで車椅子に座ったままでは入ることが出来ませんでした。Aさんはクラッチを使って、ステップ昇り、後から車椅子を載せることになりました。
Aさん曰く「大型バスだったら足が上がらないから1人では乗れなかった」というわけで良かったのかも知れません。運転手も、バス停のスタッフもとても親切に対応してくれ車椅子の積み込みなども手伝ってくれました。
5分程度で牧場へ到着。車椅子を下ろしてくれたバス停のお姉さんが「あれーー車椅子はどうやって広げるんだろう」と格闘しています。偶然広がりましたが、デシャバリな私は思わず説明をしてしまいました。これでまた1人理解者が増えたことでしょう

牧場では牧羊犬のショーをやっているという事で坂を下りました。策があって中にスタンドもあるのですが、入口が判らなく、しばらく探したのですが、ショーはどんどん進んでいくし、しかたなく「蔵王のオカマ」で、元養護学校のS先生から伝授された砂利道などの悪路を走破する方法を実践して、スタンドの裏から中に入りました。

ショーが終ってから10メーター先のスタンド中央から車椅子でも入れることは判ったのですが、慌てていたので悪路もなんのその、きちんと入ることができました。
しばらく牧羊犬と記念撮影をしたり、羊に触れたりしていましたが、生まれたばかりの小羊がすこし離れた所に居るというのでいってみることにしました。が、なんとそこは人が1人通れるような山道を少し歩かなければなりません。私は先ほどの成功を良い事に強引に車椅子をおして坂を昇り始めました。

ニュージランドから来た牧羊犬と記念撮影

その時に判ったのですが、Aさんの車椅子には後ろにクラッチ(杖)を2本立てて結わえるようになっています。その杖が山道を前輪をあげて登るときにとても役に立ちました。
前輪を持ち上げてから、押し手が結わえてあるクラッチを胸に押しあて、押す手の力とともに体全体の力でクラッチを押すと下草が有ってでこぼこの山道でも比較的楽に上れたのです。

Aさんの車椅子にはクラッチが縛れるようになっている 悪路の昇り道を進む時にはクラッチを胸に当て、体全体で押すととても楽だった
昨年はAさんが、私の車椅子を押す様子で、我が身に危険を感じたと話していることからすると私も大きな進歩を遂げたと言えるかも知れませんが、やはり車椅子が倒れるのではないかととても恐かったそうです。それでも簡単なハイキングコースなら私1人でも連れていけるのではないかとまたまた自信を付けたのでした。

おまけ
可愛い羊にキャッキャ!とはしゃいでいた時、手元にあった麦わら帽子を少々食べられズボンも食べられそうになった。と思ったら何を勘違いしたのか車椅子のブレ−キノブをガリガリかじられ立派な歯形が..動物王国入国記念となりました。(JT記)


牧場からバス停までの昇り坂、Aさんは自分の力だけで昇ると、いいだしました。

昇り坂を一人で挑戦中のAさん。だが・・・

かなりのきつい坂です。最初のうちは良かったのですが、日頃の運動不足のAさんは途中で止まってしまいました。我々の声援でなんとか昇ろうとするのですが、10センチ昇っては、20センチさがり、50センチ昇っては1メーターさがるといった状態です。最後にはいつものように笑いだしてしまいその場に止まっているのもやっとの状態。
ついにリタイヤとなってしまいました。

でも、運動の後に食べたソフトクリームはとても美味しかった。

 
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